VOL..1 ストーリー その3
こうして下宿“のぞみ”は、園子のいない初めての朝を迎えた。自分勝手な住人たちは、「自分で出来ることは自分でやってくれ」と言ったにも関わらず、望にあれこれと用を頼む。世話好きな園子の甘やかし過ぎに、望はイライラするばかり。おまけにパクと落合の恋愛バトルに巻き込まれ、望の怒りは遂に大爆発!!
だがそんな日々の中、望は住人たちの、様々な事情や想いを知っていく。リストラされ妻子を失いながらも、毎日スーツを着て警備会社に出勤し、真面目に働く平田の想い。自分の身勝手で夢を追い出て行ったとばかり思っていた父に、登山家になることを勧めたのは、実は母だったこと。韓国青年パク・サンチュが日本に来た本当の理由。そして、酒癖の悪いバツイチキャバクラ嬢と毛嫌いしていた蒼の、息子に対する想い・後悔・苦しみ・・・望の中の何かが少しずつ変わり始めていた。
そして、園子が入院してから早2週間・・・新入生歓迎公演の稽古も、演出家・あつ子を筆頭に着々と進んでいた。ジョリー扮するオスカルの華麗なる最期、韓国青年パクも巻き込んでの全員の迫真の演技に、あつ子もみんなも大盛り上がり。しばしの休憩をあつ子が告げたその時・・・園子が帰ってきた!片足ギプスに松葉杖という姿ではあるものの、町子と望に付き添われ、なんとか無事退院。歓喜の声を上げながら園子に群がり、この数週間の出来事を競って報告しようとする一同・・・その光景を見ていて、望はなんとも不思議な気持ちだった。それは、前とは違うなにか・・・不思議と楽しく、温かく、嬉しく、そしてなんだか誇らしいような・・・。
一同が、稽古のため公演に出かけたあと、二人きりになった望と園子。望があつ子の舞台に参加する決意をしたことを知ると、喜びながらもそれを茶化す園子に対し、相変わらずの憎まれ口で返す望。そんな時間が、二人には心地よかった。登山成功を知らせる父からのハガキに、嬉しそうに目をおとす母の横顔・・・その母の横顔を見つめ、思わず苦笑いの娘・・・。やがて望は立ち上がり、舞台の稽古に出かけようとする。すると園子が一言。
「頑張んのよ!楽しみにしてるんだから。」
そう、これだ。皆にいつも投げかけている言葉・・・昔から母が投げ続けてくれている想いだ。望は「うるさい」と、少しおどけて出て行くのだった。
そして、いよいよ舞台本番の朝!緊張と興奮に包まれ、いつもに増して騒がしい!と同時に、パクが韓国に帰る日でもある・・・。いつの間にか芽生えた落合との友情をはじめ、ここでの触れ合いの中で生まれた様々な想いが、皆をそれぞれに寂しく感じさせる。が、そこはやはり下宿“のぞみ”の精神で!前向きに・・・そう、前向きに!舞台の成功とこれから向かうそれぞれの未来に向かって、園子の喝を願う一同。輪になるみんな。そして園子が一言。
「失敗してもいいから、おもいっきりやってちょうだい。何度失敗しても、途中でくじけないで。頑張って!!」
「はい!」
そこには、今日もまた歩き出すみんながいた。
VOL..1~下宿“のぞみ”ここにあり!~ おわり
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